秋元克広札幌市長は6月2日(金)、政策予算となる令和5年度(2023年度)一般会計補正予算案を発表しました。この中で清田区民センターを清田区役所周辺に移転新築する基本計画策定費を盛り込みました。

清田区役所周辺

 清田区民センターの区役所周辺への移転が具体的に動き出します。

 発表によると、基本計画策定費は850万円、関連する地質調査費は1450万円で、合わせて2300万円を盛り込みました。

 基本計画策定では、新しい区民センターのコンセプトを固め、複数のプランを作成するとしています。また、清田区民の意見を反映させるための市民向けワークショップを4回ほど開催する計画です。

 さらに、清田区役所裏手の崖が2022年2月に土砂災害特別警戒区域に指定されたことから、地質調査も併せて行うとしています。

 市は、令和5年度に基本計画を策定した後、次年度に実施設計等を行った上で着工に至ると思われます。このため、新しい区民センターの完成・開館は数年後となる見通しです。

清田区民センター

 現在の区民センターは、新しい区民センターが区役所周辺に出来た後も解体せず、市の施設として活用していきます。区民ホール等多くのスペースは、札幌市の災害備蓄倉庫などとして使用するプランがささやかれています。

 一方で、清田まちづくりセンターとあしりべつ郷土館は現在の区民センターに残ります。

 清田まちセンが残るのは、清田地区町内会連合会の事務局が現区民センターに残る意向だからです。新しい区民センターに移転すると、町連の事務スペースが今より手狭になるうえ、区役所の駐車スペースも狭くなり駐車できなくなる恐れがあるため残留を決めました。

 また、あしりべつ郷土館が残留するのも、新しい区民センターでは展示スペースが大幅に縮小され、展示物を収容できなくなり、郷土館としての活動が著しく制約されるからです。

 ほかに、清田区内のスポーツ系団体が、現区民センターのあと利用として、館内の一部部屋を活動拠点に利用したいと市に求めています。

 現在の清田区民センターはまだ耐用年数が数十年あります。他区の区民センターには、清田よりも古い区民センターがあります。それなのに、秋元市長が清田区民センターの移転新築に舵を切ったのには、地下鉄がないために拠点形成がさっぱり進まない「地域交流拠点清田」(区役所や西友清田店がある付近)の問題があるからです。

 秋元市長が、清田区民センターの移転新築を表明したのは、2020年11月24日、地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会顧問、清田区・豊平区の町内会連合会などで構成)が市長に「地下鉄延伸」を要望した席においてでした。

地域交流拠点清田

 地下鉄期成会は毎年、「市内17か所の地域交流拠点で地下鉄またはJRがないのは清田だけ。ほかの拠点は、人が集まる駅を中核に拠点形成が進んでいる。地域交流拠点形成というまちづくりの上からも地下鉄の清田への延伸は必須だ」と何度も市長に要望してきました。

 これを受けて、秋元市長が2020年11月24日、突如、期成会に「耐用年数にこだわらず区民センターの移転を検討する。今の区民センターは別途転用、活用を図るので、少し時間をいただきたい」と表明したのです。「区民センターを移転し、拠点形成を一歩でも二歩でも前に進めたい」(秋元市長)との思いも吐露しました。

 ところで、4月の市長選挙で、秋元市長は地下鉄清田延伸について、「千歳の半導体工場ラピダスの工場建設など新しい動きがある、そうした点も踏まえて、地下鉄延伸の需要推計をやり直し、延伸を検討していく」と演説、従来よりかなり前向きな発言を清田区内で繰り返ししていました。

 地下鉄清田延伸に「待った」をかけた上田前市長も最近、「国の方針が変わったのだから、延伸をちゃんと検討した方が良い」と、180度姿勢を転換して清田延伸に前向きの発言を行っています。

 地下鉄清田延伸の可能性があることを市長自ら述べているわけですから、清田区役所周辺に新築する清田区民センターは、将来の地下鉄延伸と地下鉄清田駅設置を前提にした配置に十分配慮、留意してほしいと思います。

 清田区民センターの移転関連の予算2300万円を盛り込んだ補正予算案(総額341億円)は6月12日開会の定例市議会に提出され、可決される見通しです。